スウェーデン発、心を動かすデジタルマーケティングキャンペーンをご紹介します。「コンドームはムードを壊す」と思っていませんか?このキャンペーンが、そのイメージを180度覆します!
クリエイティブコンセプト
セックス中の快感指標(持続時間、リズム、音量)を測定するモバイルアプリ「The Sex Profile」。
メッセージ
コンドームと安全なセックスは楽しいもの。
目的
コンドームの正しい使い方を広め、「コンドームは面倒」「ムードを壊すもの」というイメージを変えること。
課題
このキャンペーンは、ストックホルム在住の20〜30歳の若者をターゲットに展開されました。ストックホルム県エイズ予防プログラム(LAFA)によると、若者の間でコンドームの使用が軽視される傾向が強まり、HIV感染者数が増加していました。感染者数自体はまだ少なかったものの、早急な対策が求められていました。調査の結果、最大の障壁は「コンドームは不便で気まずい」という思い込みであることが判明。非営利団体であるLAFAは、「安全なセックスやコンドームは楽しい」という新しい価値観を広めるべく、キャンペーンを始動しました。
では、どのようにしてこの課題に挑んだのでしょうか?
公園やフェス、コンサート、カフェ、バーなど、若者が集まる場所で5万個のコンドームを無料配布。また、若者のスマートフォン利用率の高さに着目し、コンドームのパッケージにはQRコードを印刷。「The Sex Profile」アプリのダウンロードを促しました。
「The Sex Profile」は、セックスの前にアプリを起動し、行為中に快感に関するデータ(音量、持続時間、リズム、位置情報など)を記録します。まずコンドームの使用をリマインドし、その後、快感指標を測定。
行為後は、「ベッドルームパフォーマンス」のグラフをキャンペーンサイトに匿名で投稿できます。年齢や髪色、気分などを入力し、匿名プロフィールを作成。LAFAはこれらのデータを集計・比較し、バナーや屋外広告、掲示板、ボランティア用Tシャツなどにグラフを掲載し、街中で可視化しました。さらに、他のユーザーの「セックスチャート」も閲覧可能。たとえば、ジャズ好きとロック好き、犬派と猫派、ブロンドとブルネットなど、さまざまな属性ごとに比較でき、若者同士でコンドームや健全な性について気軽に語り合うきっかけを生み出しました。

「ベッドルームパフォーマンスチャート」を表示するウェブサイト画面
成果
このキャンペーンが大きな話題を呼び、バイラルな成功を収めた最大の要因は、エージェンシーEsterがアプリで収集したデータを巧みに活用した点にあります。

ストックホルム市内のビルボードや広告掲示板に、ユニークで遊び心あふれるデータを掲載。たとえば、「今週コンドームを使った人の数」や「犬好きは猫好きよりベッドで声が大きい」「最近、ブルネットは以前ほど“アクティブ”ではない」など、思わず話題にしたくなる情報で市民の興味を引き、ウェブサイトへのアクセスを促進。若者だけでなく、幅広い世代が安全なセックスについて考えるきっかけとなりました。
LAFAによれば、このキャンペーンは若者の間で安全な性行動を促進し、デリケートな話題への抵抗感を和らげることに成功。2011年の開始以来、5,900件の「Sex Profile」レポートが集まりました。事後調査では、ストックホルムの若者の39%が「コンドームに対するイメージが以前より良くなった」と回答しています。
マーケティングの教訓
若年層にリーチしたいなら、モバイルマーケティングが最適。
ユーモアと共感で若者の心をつかむこと。
プロフィールデータはマーケティングの宝庫。モバイルマーケティングはアプリだけにとどまらない。
非営利団体でも、革新的なマーケティングキャンペーンは実現できる。