「コンドーム08」キャンペーン:QRコードとアプリで広がった安全な性行為への意識

「コンドームはムードを壊すもの」という固定観念を覆すため、スウェーデンで展開されたデジタルマーケティングキャンペーンをご紹介します。

クリエイティブコンセプト

セックス中の快感に関する指標(持続時間、リズム、音量)を記録するモバイルアプリ「The Sex Profile」。

メッセージ

コンドームと安全なセックスは、楽しいものです。

目的

コンドームの正しい使い方を広めるとともに、「面倒」「ムードを壊すもの」といったイメージを変えることを目指しました。

課題

このキャンペーンは、ストックホルム在住の20〜30歳の若者を対象に展開されました。ストックホルム県エイズ予防プログラム(LAFA)によると、若者の間ではコンドームの使用が軽視される傾向が強まり、HIV感染者数も増加していました。感染者数自体はまだ少なかったものの、早急な対策が必要とされていました。

調査の結果、最大の障壁は「コンドームは不便で気まずい」という思い込みであることが判明しました。非営利団体のLAFAは、「安全なセックスやコンドームは楽しい」という新たな価値観を広めるため、キャンペーンを開始しました。

この課題にどのように取り組んだのでしょうか?

公園、フェス、コンサート、カフェ、バーなど、若者が集まる場所でコンドーム5万個を無料配布しました。スマートフォンの利用率が高い層に着目し、パッケージにはQRコードを印刷して「The Sex Profile」アプリのダウンロードへ誘導しました。アプリやキャンペーンページへ案内する際には、Webサイト用QRコードを活用できます。

「The Sex Profile」は、セックスの前に起動し、行為中の快感に関するデータとして、音量、持続時間、リズム、位置情報などを記録するアプリです。最初にコンドームの使用を促し、その後に快感指標を測定します。

行為後には、「ベッドルームパフォーマンス」のグラフをキャンペーンサイトへ匿名で投稿できます。年齢、髪色、気分などを入力して匿名プロフィールを作成し、LAFAは集計・比較したデータをバナー、屋外広告、掲示板、ボランティア用Tシャツなどにグラフとして掲載し、街なかで可視化しました。

ほかの利用者の「セックスチャート」も閲覧でき、ジャズ好きとロック好き、犬派と猫派、ブロンドとブルネットといった属性ごとの比較が可能でした。これにより、若者同士がコンドームや健全な性について気軽に話すきっかけが生まれました。

コンドーム、モバイルアプリ、QRコードを活用したバイラルマーケティングキャンペーン

「ベッドルームパフォーマンスチャート」を表示するWebサイト画面

成果

このキャンペーンが大きな話題を呼び、バイラルな成功につながった大きな要因は、エージェンシーEsterがアプリで収集したデータを巧みに活用したことにあります。

コンドーム、モバイルアプリ、QRコードを活用したバイラルマーケティングキャンペーン

ストックホルム市内のビルボードや広告掲示板には、遊び心のあるユニークなデータが掲載されました。たとえば、「今週コンドームを使った人の数」「犬好きは猫好きよりベッドで声が大きい」「最近、ブルネットは以前ほど“アクティブ”ではない」といった、思わず話題にしたくなる情報です。こうした表現で市民の関心を引き、Webサイトへのアクセスを促しました。若者だけでなく、幅広い世代が安全なセックスについて考えるきっかけにもなりました。

LAFAによると、このキャンペーンは若者の安全な性行動を促し、デリケートな話題に対する抵抗感を和らげることに成功しました。2011年の開始以来、「Sex Profile」レポートは5,900件集まりました。事後調査では、ストックホルムの若者の39%が「コンドームに対するイメージが以前より良くなった」と回答しています。

マーケティングの教訓

若年層にリーチするには、モバイルマーケティングが有効です。

ユーモアと共感を通じて、若者の関心を引きつけることが重要です。

プロフィールデータはマーケティングに活用できる貴重な資源であり、モバイルマーケティングはアプリだけにとどまりません。

非営利団体でも、革新的なマーケティングキャンペーンは実現できます。