飲食店では、すべてのお客様に同じ対応をするだけでは、十分な成果につながらないことがあります。売上や顧客生涯価値への貢献が大きいVIP顧客には、それに見合った対応を用意することが重要です。
ただし、限られた接客時間のなかでVIP顧客をすばやく、しかも過度に目立たせずに把握するのは簡単ではありません。そこで役立つのが、動的QRコードのアクセス解析です。単にデジタルメニューへ案内するだけでなく、読み取りデータをもとに顧客を分類し、個別性のある対応を検討する材料になります。
1. 動的QRコードのアクセス解析で顧客行動を把握する
高度なプラットフォームで管理する動的QRコードでは、静的QRコードでは得にくい詳細なアクセス解析データを確認できます。
1.1. 確認したい主な読み取り指標
- 読み取り頻度:短期間に同じ店舗で複数回読み取る顧客と、一度だけ読み取る一見客を見分ける際の重要な指標です。
- 読み取り日時:注文につながりやすい時間帯や、ピークタイム、アイドルタイムなどを把握する手がかりになります。
- 位置情報:複数店舗を展開している場合、どの店舗への来店傾向が強いかを確認する際に役立ちます。
1.2. 匿名の行動プロファイルを作る
初期段階では、IPアドレスや端末種別などの匿名データとして扱われます。ただし、読み取りが繰り返されることで、システム上では常連とみられる行動パターンとしてグループ化できます。
- 例:あるモバイル端末が過去3か月間、毎週金曜日にA店のQRコードを読み取っている場合、「常連顧客―A店」といったプロファイルとしてタグ付けできます。
2. 顧客を分類し、対応につなげる
収集したデータをもとに、飲食店では顧客を実務的なグループに分類できます。
2.1. グループ1:一見客
- 特徴:初めてQRコードを読み取った顧客です。
- 目的:再来店につなげることです。
- 施策例:初回の読み取り時に、初回注文10%オフなどのウェルカム特典や、メール会員登録の案内を掲載したリンク先へ誘導します。リテンション施策の入口として活用できます。
2.2. グループ2:見込み顧客
- 特徴:半年間に2〜3回、QRコードを読み取る顧客です。
- 目的:来店頻度を高めることです。
- 施策例:「今週の人気メニューはもうお試しですか?」といったおすすめや、アイドルタイム限定の割引を表示し、再来店を促します。
2.3. グループ3:VIP顧客
- 特徴:月5回以上QRコードを読み取り、メニューの閲覧時間が長く、高額な注文をする顧客です。
- 目的:ロイヤルティを維持し、口コミによる新規顧客獲得につなげることです。
- 施策例:VIP顧客による読み取り時にスタッフへ自動通知を行い、デザートのサービスや席の案内など、優先的な対応を検討できます。QRコードを使った会員プログラムへの案内にも活用できます。
3. 顧客層に合わせてメニュー体験を変える
動的QRコードでは、顧客層に応じてリンク先を変更できるため、メニュー体験の出し分けを検討できます。飲食店のデジタルメニューには、Nine Menuも活用できます。
3.1. メニュー内容を顧客層ごとに調整する
- VIP顧客:デジタルメニュー内で新作や限定メニュー、裏メニューなどを優先して表示できます。
- 一見客:人気メニュー、注文しやすい商品、コストパフォーマンスのよい選択肢を目立たせ、注文時の迷いを減らせます。
3.2. コミュニケーションのタイミングを整える
動的QRコードのアクセス解析を活用すると、顧客との接点を設計しやすくなります。
- 適切なタイミングでのオファー:初回の読み取り時に取得したメールアドレス宛に、2回目の読み取りから24時間後、特別オファーを送信して3回目の来店を促します。
- 顧客ごとのQRコード:会員登録後に、メールやアプリ経由で顧客専用の動的QRコードを発行できます。読み取り時には、「お帰りなさい。おすすめの限定メニューをご用意しています」といった個別メッセージを表示できます。
4. リテンション施策に活用する
動的QRコードは、ロイヤルティプログラムの運用にも活用できます。
- ポイントの自動管理:ログインまたは登録済みの顧客であれば、QRコードメニュー経由の注文や読み取りに応じて、顧客プロファイルへポイントを自動付与できます。
- LTV効果の測定:動的QRコードを通じて注文頻度や注文金額を追跡することで、顧客セグメントごとのLTV(顧客生涯価値)を算出し、VIP顧客の獲得に向けたマーケティング予算の配分を検討できます。
5. 動的QRコードで、より的確な顧客対応へ
競争の激しい飲食業界では、画一的なサービスだけで顧客との関係を深めることは難しくなっています。動的QRコードのアクセス解析による顧客分類を活用すれば、顧客ごとにより適した対応を検討できます。
CRMと連携すれば、VIP顧客の把握に加え、一見客をリピーターへ育てる施策や、長期的な顧客関係の構築にも取り組めます。
すべての顧客に同じリソースを配分するのではなく、事業への貢献度や行動に応じて対応を考えることが大切です。動的QRコードのアクセス解析を活用し、顧客分類と個別対応の仕組みづくりを始めましょう。